砂鯨
砂礫舞う灼熱の海原 男は独り馬を駆り行く手に持つは鈍色の輝き その重みを強く握り締めながら
先を游ぐは砂海の王者 砂の飛沫を高く吹き上げ あまねくものを呑みこむ巨体に 人の子はただ畏れおののく
彼等は男を嘲け笑った 誰もが敵わぬ砂鯨 砂原を游ぐ生ける巨山に 独り挑むは愚かな行為と
振り上げた尾は怒濤の荒波 体躯に纏うは砂嵐 遥かに遠く及ばぬ存在に それでも男は挑み続けた
故郷の村 母の優しい笑顔 命を懸けて護りたいと思った全ては今では等しく彼の腹の中 どうして追いかけずにいられようか
先を游ぐは砂漠の王者 追って駆けるは無謀な男 砂漠の極致の追走劇 渇いた世界の物語
友人のkanlaが音楽06に素敵な散文詩をつけてくれました
掲載許可はもらってありますえっへへ
2011/05/06